ライオン王子に飼われたネコさん。

「全部自分のせいなのに、あなたに怒るのは違いました。ごめんなさい。無理矢理起こしたことも、巻き込んだことも全部」

男は聞いているのか聞いていないのか、ふぁ、と欠伸をし、最初にここに来た時のように壁に身を預けだした。また寝ようとしているのだろう。

(自由だなぁ。)

まるで猫のよう。

人通りは少なく、静かではあってもふわふわのベッドの方が余程寝やすいだろうに。

(でも、猫よりは可愛げがない。)

では、一体何に似ているだろう?

寝る体勢に入った男を見やれば、男は目を閉じず、真白を見ていた。射抜くような視線にドキッとする。

「強い酒でも飲まされた?」

「……飲まされました」

「だろうな。警戒心自体は強そうだし、アイツの口が上手かったならどうしようもなかった筈だ。知り合いなら緩むだろうし。全部を自分のせいにする必要はない」



『全部自分のせいなのに』

さっきの言葉の慰めだった。

聞いていないのかと思えばちゃんと聞いていた。


「何飲まされた?」

薄暗い店内で、フルーティな香りの琥珀色のカクテルを飲まされた時の記憶は朧げ。

今は酔いも醒めて、頭はしっかりと覚醒している。

それなのに、月の光に照らされた目の前の美しい男の方が夢のような存在に思える。

彼の方があのカクテルの名に相応しい。

「アンバードリーム」

「ベルモットみたいな味がすると思ったら、通りで」

ペロリと男の下が綺麗な唇を舐めた。

その意味がわかると全身が熱くなり、さっきのことを否応無しに思い出せられた。
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