ライオン王子に飼われたネコさん。
想いを告げなかったことは正解だった。
帰国してすぐに黄瀬怜音という男が一体何者だったのかを知った。
ライオン王子。
デビューしてすぐに話題になったモデル、Leo。
SNSアカウントを作って放置していた真白は帰国するまで一切気づかず、平然と(実際は常に溺れる寸前だったが)側にいられたあの三ヶ月間の自分が信じられなかった。
最初から同じ場所に立っているとは思っていなかったけれど、そもそも住む世界が違った。
もしあのまま、あの付き合いが続いていたらどうなっていただろうと思うと恐ろしさに震えた。
そして、真白が二十二歳の誕生日を迎えた大学四年生の六月。
五月に大学を卒業し、もうすぐ帰国予定だということをネットニュースで見て知ってはいたものの、二度と会うことはないだろうと思っていた怜音と何故か、もう一度会うことになった。
連絡先は交換していたけれど、真白からかけることはないし、怜音からかかってくることも無いだろうと思っていたのに、だ。
アメリカにいる時同様、オートロックどころか門に警備員、エントランスにコンシェルジュがいるという一人暮らしにしては贅沢すぎる高級マンションの上層階にある彼の部屋に呼び出された。
それなのに何故か呼び出した本人は会って早々、少しだけ不機嫌だった。
一人だけ浮かれていたのが恥ずかしくなった。
留学中もそうだったが物が少ないのもあって部屋はいつも綺麗で、時々面倒なのか服が散らばっていたけれど今日は何もすることはなさそうだ。
「何飲む?」と、聞かれることもなく、アイスティーにミルクとシロップのポットを渡された。
(甘党だってバレてるな。)
向こうでは怜音の真似をしてコーヒーを飲んでいたりしたけれど、本当は猫舌で甘党。
あの三ヶ月間、何事にも無関心そうに見えたのに、ちゃんと見ていてくれたと言うことだろう。
真白は嬉しくて思わず微笑んだ。