ライオン王子に飼われたネコさん。
銀ちゃんこと冬染寺銀は怜音の向かいの部屋に住むイケメン俳優。
彼の家系は芸能一家で、兄弟も両親も祖父母も皆、芸能関係の仕事をしている。
銀は歴とした日本人だが曽祖母にあたる人がロシア人だったので隔世遺伝で瞳が青く、肌が透き通るように白い。
子役時代から天才と呼ばれた彼は今尚その名を恣にしており、日本だけでなく海外でも活躍する国際的俳優だ。
最近は仕事をセーブしていて、持って生まれた黒髪を銀に染め、専らペットのロシアンブルーを愛でる毎日を過ごしている。
そんな銀と怜音は幼稚舎から高等学校までエスカレーター式だったこともあり、幼馴染といっていい年月を過ごしている。
「白猫もいいなぁ。この子の名前は?」
「決めてくれって言われてまだ決めてない」
「……預かり猫なんだよな?」
「当たり前だろ。俺が動物を飼える人間に見えるなら眼科行ったほうがいいぞ」
自慢していうことでもないがその通りだ。
自分の世話さえ怠惰な性格で疎かにしがちなのにペットの世話なんて言語道断。
怜音に飼う責任を持てるとは到底思えない。それは真白も銀も同意で、「だよなぁ」と心の中で思った。
よくよく話を聞いていると、どうやら紅羽が一枚噛んでいるらしい。
店の前に捨てられていた猫を拾ったはいいものの、紅羽の店は一応飲食店。店で飼うわけにはいかず、怜音に連絡をした。
「しばらく預かってくれな〜い?ペット用品は揃えてあるから!」と半ば無理やり預けられる形で今に至る、ということらしい。
「それがどうなってこの人選になったんだ?」
もっと他にいい人がいただろうにと言わんばかりの銀。怜音は小さく舌打ちをし「俺だって知りたい」と答えた。
「飼い主が見つかるまででいいとはいえ、よくお前が了承したよな。なんか弱みでも握られてたりする?」
「…………」
「え?」(え?)
冗談のつもりで言った銀も、聞いていた真白でさえも無言の怜音に呆気にとられた。
間抜けな顔の銀と白猫から目を逸らした怜音は「……あの女、普通の人間じゃねーんだよ。じゃなきゃ、俺だって拒否してた。体が勝手に従ってたんだからどうしようもなかったんだっての」と、苛立ちを露わにする。
相当ご立腹のようである。
(ん?体が勝手に従ってた?)
引っかかる言葉に真白はだんだんとこの姿になる前の記憶が蘇って来るのを感じた。