ライオン王子に飼われたネコさん。
ーーー昨日の夜。
自分の意思とは裏腹に手が勝手に差し出されたグラスを持ち、そのまま口に運んでしまう。
真白にはこれが一体何杯目のカクテルになるのかなんて分からない。前後不覚に近い状態だ。
それでも頑なに「やだぁ」とグラスを空ける毎に呟いた。紅羽が怜音を呼ぶというので意識朦朧状態だが断固としてお断り申し上げている。
「ん〜。まだ粘っちゃうか〜。じゃあもう一杯どうぞ」
「や、」
口では拒否をするのにやはり体が勝手に動き、また飲み干す。目の前がぼやけ始め、グラグラしている。
(明日、二日酔い、やばそー。)
既に今の状態がヤバいのだが、真白はまた差し出されたカクテルグラスを見て自分の肝臓が心配になってきた。
「だ〜いじょうぶ。ちょっと頭痛はするかもしれないけど、お酒に関しては明日の朝に全部無かったことになるから安心して飲んでちょうだい」
真白の意思が反映されないのに安心するも何もない。
「そろそろかな〜」
紅羽は楽しそうにカウンターバーの下に潜り、紙と万年筆を取り出した。
真白が会社でコピーした時に出てくるような安っぽい紙ではなく、分厚くて手触りのいいお高そうな紙。
そこにサラサラと紅羽は綺麗な字で何やら記していく。
「本当は真白ちゃん自身を怜音のところに送り込んで満足するまで一緒に過ごしてもらおうと思ったんだけど、あんまりにも拒絶するから真白ちゃんじゃない姿にしておくわ。そうね〜。猫ちゃんは好き?」
「猫は、好きです」
「よかった」
紅羽が紙の下方に線を引いたところで真白の方に紙を向けられ、万年筆を渡された。