ライオン王子に飼われたネコさん。

(キス!?)

「おとぎ話の魔法はキスで解けるのが定説でしょ?」

にんまりとしている紅羽に、彼女が意外にも少女漫画や恋愛ドラマにどっぷりハマっていることを思い出した。

(却下で!!)

「でも、それ以外に契約破棄の方法はないわよ?契約書に書いちゃったんだもん」

(だもんって!魔法をかけた本人なんだからできますよね?!さっき人間に戻りたいって言ったらいいわよって言ったでしょ!?)

「魔法が使えるとはいえ、魔女にも出来ることと出来ないことは存在するのよ?」


自分自身のために日常生活で使う程度の魔法ならば魔力が枯渇しない限りは無限に使うことができる。

だが、他人のために使う時には契約書を交わさなければ使うことができない。それが魔女の掟らしい。

契約内容と破棄の仕方についての記載、署名をもって契約の成立。

契約内容は契約満了又は破棄されるまでは永続され、魔法をかけた魔女本人でも破棄はおろか書き換えさえできない。

「他にも出来ないことがあって、さっき私がこの部屋に入る前に真白ちゃんに"部屋に入れて"って聞いたくせに、結局魔法で開けて入ったでしょう?変だと思わない?」

確かに変だ。

その時点で真白は猫だったので窓の鍵に手は届かず開けられない。

一目瞭然なのに紅羽はわざわざ聞き、真白は震える紅羽に早くしなければ彼女が凍死すると思い、「今すぐ開けます!」と抜けきらない人間感覚で手を伸ばした。

次の瞬間にはカチッと鍵が一人でに解錠し、窓は開いていた。

「魔女は他人の領域に踏み込む時には許可が必要なの。それは人の部屋という意味でも、人の心という意味でもね。逆に、一度でも許可さえもらえれば後は魔女の自由にできちゃうけど煩わしいったらないわ〜。魔女のテリトリー内なら契約を交わす時以外なら許可をもらうことなく他人に魔法をかけることができるのに〜」
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