ライオン王子に飼われたネコさん。
『Leoと同じブロンドの髪は月の光に照らされ美しく、顔は見えなかったが雰囲気がとてもお似合いの二人だった。三度のお持ち帰り。もしや、今回の美女とは真剣交際なのか!?』

「えー!真剣交際とかやだー!!結婚とかしちゃったらどうしよう!?」

赤江が両頬を押さえて小さな悲鳴をあげると、あちこちから同じような声が上がった。

「結婚は飛躍しすぎじゃない?まだ交際しているかどうかも怪しいのに、そんな一足飛びにはいかないでしょ」

すると、隣からチッチッチと舌打ちしながら人差し指を揺らし「甘いですよ!」と声を張る赤江。

「七瀬さん!最近の芸能人は0日婚とか電撃婚が多いので十分あり得ますよ!」

彼女の言葉に真白は言われてみればそうだと思った。

あまりエンタメニュースは見ない真白だが、それでも大物芸能人の結婚なんかは連日取り上げられる。

ここ最近は確かに電撃結婚や0日婚という言葉をよく耳にしていた。

「二十七才ならありえないでもないか」

ポツリと呟いた言葉に周りからの視線が一気に集中するのを感じた真白は恐る恐る顔を上げると、女子社員がマシンガンのように口々に否定的な声を上げた。

「それは一般的な尺度ですよ!それも女性の!」

「男性芸能人が二十代で結婚するのってなんか早く感じません?」

「もうちょっと熟してからならそうだよね〜そろそろだよね〜ってなりますけど、まだ早い!って気になりません!?」

「ええ〜、結婚なんて当人次第じゃない?」

特に熱烈に応援する芸能人がいたことがない真白には芸能人が二十代で結婚することが早いとは思わないし、それは当人が決めることであって他人がどうこういうべきものではないと思っている。

けれど、ファン的にはそうではないらしい。

「それ言っちゃおしまいですよ〜!まだ結婚せずに遊び人のままで、誰のものにもならないレオがいいんじゃないですか〜!」

赤江の言葉に賛同する後輩社員たちに真白は心底理解できないという顔で「私は一途な方がいいと思うけど」と残りのおにぎりを口に入れた。
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