ライオン王子に飼われたネコさん。
また感じる視線に「な、何?」と狼狽えていると赤江から何故か拍手を贈られた。
「それ、最高すぎません?めっちゃありです!遊び人だったレオが一途に一人を愛すってのも良いですね!」
「わかる!!」という周りに真白は「はぁ〜?」と首を傾げた。
「誰のものにもなってほしくないんでしょ?」
「相手が超美人でめっちゃ釣り合っててお似合いだなって人ならありかもです!」
(無茶苦茶じゃん!)
暴論に唖然としつつ、雑誌の中の相手女性を見る。
顔こそ出されていないが、恐らくとんでもない美人だと真白は直感的にそう思う。
写真ですら感じる美人オーラはレオのオーラに負けていない。
「じゃあ、今回はもしかしたらアリって思っちゃうような人かもしれないってことじゃない?記事にもお似合いって書いてるし」
雑誌を指差せば、胸を押さえて蛙が潰れたような声を上げて顔を覆う赤江。
「そうかもしれませんが、やっぱり……なんか嫌だー」
「……どっちなのよ」
「ガチファンとかじゃないですし、俄ファンですけど、レオみたいな国宝級イケメンが誰かのものになるのって目の保養が減っちゃう気がしてなんか複雑なんです!分かってくださいこの乙女心!」
「さっさとご飯食べないと時間なくなるよ」
面倒くさくなってきたのでスルーし、机の上に置いていたおにぎりの包装フィルムをレジ袋の中に入れ、雑誌もそこに入れようと手を伸ばした。
「もう捨てちゃうんですか?」
「だってもう読んだでしょ?」
「レオのこの記事を読むためだけにこれ買ってきたんですか!?」
「……そうよ」
真白はそれ以外の記事は全く興味がなかった。
コンビニの雑誌ラックに飛び込んできた文字に衝動的に買ってしまっただけで、他はそもそも眼中にすらない。
「七瀬さん冷めたこというなぁとか思ってましたけど、それって私たちよりファンじゃないですか?……待てよ。寧ろガチファンだからこそ、推しの幸せを願えちゃうってことですか!?」
「ファンじゃないんだけど」
「照れちゃって〜!!これからレオのコラボキャンペーンとかあったら協力しますんでいつでも言ってください!」