ライオン王子に飼われたネコさん。
翌日。
どこを探したって見つからないのでガセネタだと思い始めていた時だった。
仕事をするのに必要だとか何とか言って買ってもらった机の右側の引き出しにこれまで貰ったアクセサリーがあった。
それは別れを告げた日に置いていったもので、とっくに捨てられたものだとばかり思っていたものだったので見つけた時には思わず引き出しを閉めた。
確認のため開いてみればやはりある。
ネックレスもイヤリングもブレスレットも全部。
「な、なんであるの」
いらないものはすぐに捨てる彼が何故これを残しているのか見当なんてつくはずがない。
真白は怜音が寝ている時に別れを告げたので、直接別れを告げたかと言われればNOと言える。
だが、カードキーも貰ったアクセサリーも置いて連絡手段を無くしたことを考えれば一方的ではあるが"別れた"ことは察せるだろう。
これを置いておく意味が分からない。
「いや、怜音ことだもの。机の上に置いてあったから適当に引き出しに入れて忘れてるだけでしょ」
ここに来てから客室の掃除をしていないことを考えてもそうに違いない。
自分で自分を納得させ、左側の引き出しを開けた。
コトン、と小さな音を立てる丸っこいフォルムのケース。頭には噂のブランド名。
一瞬息が止まってしまった。
これは一体何なのか。大きさから考えても答えは一つしかないのに不意打ちすぎて頭がすぐには働かなかった。
震える手でずっしりとしたそれを持ち上げる。
自分のものではないのに勝手に触ることも、勝手に開くこともしてはいけないと頭の中では分かっている。
だけど、確認せずにはいられなかった。
蓋を持ち上げようと試みるも、蓋の強度がしっかりしているのか、真白の手が震えているせいかはわからないが上手く開けられず、何度か同じことを繰り返してようやく開いた。
そこには大振りのムーンストーンが一つと輪に沿ってダイアモンドが連なったホワイトゴールドのリング。
パタンとすぐさまケースを閉じて元の場所に戻した。