ライオン王子に飼われたネコさん。
キュッ、とコックを締める音が響き、ペタペタと足音が近づいてくる。真白は下を向き、絶対に顔を上げないと身を強張らせた。
「なに。お前水が怖かったの?」
(違います。)
ただ、目の前の男の体を見ないようにしているだけなのだが、怜音には水に怯えてシュンとしているように見えるらしい。
「次からはあんなとこに入らないことだな」
フッとちょっとだけ小馬鹿にしつつも優しげな笑みでマシロを抱き上げ、浴室を出る。
そんな怜音の表情は目を閉じて「心頭滅却!」と唱えていたマシロにはもちろん見えていなかった。
ブオオオンと音を立てるドライヤーの風に当てられ、無表情で(猫に無表情も何もないのだが)いる猫が一匹。
自分で乾かすことができないのでここは大人しく従おうと決めた。
しかし、頭を中心に全身を撫でられて体がゾワゾワする度に「心頭滅却」を唱え続けているせいで表情がごっそり抜け落ちていた。
おまけにここはリビングではなく寝室。
今日も今日とて一緒に寝ようとする怜音から逃げていることがバレているのか、お風呂から上がってすぐに連れてこられてしまった。
もう逃げ場がない。そんな絶望から表情が抜け落ちている説もなくはない。
ドライヤーの音が止まると今度は初めてのブラッシングが始まった。
(何でこんなに世話焼かれてるの私。)
人間の時にはこんな扱いをされたことがないし、そういうことをするタイプの男ではない。
どちらかと言えば世話を焼かれる方だ。
(一体どうしちゃったわけ?)
宇宙人に体でも乗っ取られたのだろうか。
「なに。お前水が怖かったの?」
(違います。)
ただ、目の前の男の体を見ないようにしているだけなのだが、怜音には水に怯えてシュンとしているように見えるらしい。
「次からはあんなとこに入らないことだな」
フッとちょっとだけ小馬鹿にしつつも優しげな笑みでマシロを抱き上げ、浴室を出る。
そんな怜音の表情は目を閉じて「心頭滅却!」と唱えていたマシロにはもちろん見えていなかった。
ブオオオンと音を立てるドライヤーの風に当てられ、無表情で(猫に無表情も何もないのだが)いる猫が一匹。
自分で乾かすことができないのでここは大人しく従おうと決めた。
しかし、頭を中心に全身を撫でられて体がゾワゾワする度に「心頭滅却」を唱え続けているせいで表情がごっそり抜け落ちていた。
おまけにここはリビングではなく寝室。
今日も今日とて一緒に寝ようとする怜音から逃げていることがバレているのか、お風呂から上がってすぐに連れてこられてしまった。
もう逃げ場がない。そんな絶望から表情が抜け落ちている説もなくはない。
ドライヤーの音が止まると今度は初めてのブラッシングが始まった。
(何でこんなに世話焼かれてるの私。)
人間の時にはこんな扱いをされたことがないし、そういうことをするタイプの男ではない。
どちらかと言えば世話を焼かれる方だ。
(一体どうしちゃったわけ?)
宇宙人に体でも乗っ取られたのだろうか。