ライオン王子に飼われたネコさん。
            ***




『この電話はお繋ぎすることができません。』

椅子に背を預け、体の力を抜く。手からスマホが滑り落ちてカツンと音を立てた。

そろそろスマホが壊れてもおかしくないが、壊れようがどうでもよかった。

繋がらないのなら何の価値もないのだから。

必要な番号はたった一つだけでそれ以外の情報は消えたところで興味がないし、必要な番号は覚えているのでこのスマホが壊れようと新しいものを用意すればいい。

真白の番号にさえ繋がればいいのだ。

それだけの話なのに何度かけても同じアナウンスの繰り返しで一ヶ月前から一度も繋がらない。

怜音だけが繋がらない訳ではなく、彼女の連絡先を知っている桃坂や銀達ですら繋がらなくなってしまい、彼女の新たな連絡先に繋がる手段も潰えた。

一度でいい。

たった一度でいいから繋がってくれと奇跡を願いながら電話をかけてみるも結果は同じで、イタリアから帰ってきてすぐに彼女の家に行ってみれば引っ越した後で今はどこに住んでいるのかも不明。

あれから一ヶ月が経つ。

これが何を意味するかわからない訳ではなかったし、朧げな意識の中で聞いた言葉も覚えている。

怜音はそれを許すつもりはない。
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