ライオン王子に飼われたネコさん。
桃坂には連絡先を聞いた時点で勘づかれ「誰があなたを起こすの!」と嘆かれた。
それから、だらしがないからだとか、頼りっきり任せっきりで呆れられたんだとか、散々説教を受け、真白からはそんな素振りはなかったものの桃坂の説教は的を得ているように思い、家事をするようになった。
そうすれば真白が戻ってくるような気がしていたし、時間が経てば彼女が折れてくれるのではないかと少しは期待したが甘かった。
引っ越しまでして行方をくらますということは真白の方も本気だったのだ。
最終手段として探偵を雇うか、唯一居場所がわかっている職場に乗り込むか。それ以外にもう方法はないのだが、それは何とか踏みとどまっている。
というのも、一週間ほど前に真白の居場所を知るための手段が見つかったからだった。
「白猫ちゃんを暫く預かってくれな〜い?そしたら真白ちゃんに会わせてあげるけど、どうする〜?」
上機嫌に真っ赤なルージュが弧を描く。
実家で両親が猫を飼っていたが、怜音はもちろん関与していない。世話の仕方はおろか接し方さえ知らず、面倒なことこの上ないが怜音に選択肢はない。
「絶対に会わせろよ」
「もちろん。約束は守るわよ」
のらりくらりとしている彼女こそ猫のような女だが、その時ばかりは嘘をついているようには見えなかった。
紅羽を信じ、真夜中に呼び出され半ば脅迫めいた取引により白猫を引き取るに至った。