ライオン王子に飼われたネコさん。


暴れられたり、汚されたりすることをある程度覚悟していたが、預かった白猫は懐く素振りはまったくないもののとても大人しく、手がかからない。

偶然にも真白と同じ位置、首の付け根に黒子のような黒い毛が生えていたことからマシロと名付けたその猫はどこか人間っぽい仕草と反応をするちょっと変わった猫だった。

マシロは懐かず、怜音も必要最低限の世話だけをして深くは関わらない。

約束の期限までそうやって過ごすつもりだったのだが、ある日、マシロから真白と似たいい匂いがすることに気づいてしまった。

一ヶ月前、ぐっすり眠っていたせいで真白を止めることができなかった。

そのせいか、あれ以来深く眠ることができなくなっていて寝不足のピークを迎えていたこともあり、体が本能的に求めたのかマシロを寝室に連れ込んで眠っていた。

すると、驚くほどよく眠れ、頭がスッキリしていた。

ちょうどいい体温に好みの匂い。それらは寝不足と疲労、苛立ちと焦りを少しだけ緩和する役割になり、いつのまにか手放したくない存在になっていった。


(なんか、似てるんだよな。)

真っ白な毛並みで水色の瞳の猫は真白の特徴からはかけ離れているのに黒子の位置や匂いを始め、どことなく仕草も似ているような気がして時折マシロが真白に見えることがあった。

いよいよ重症だということは彼自身承知していたが、どうにも一度そう思うとそう見えてしまう。

それもマシロを手放したくないと思わせる要因だった。
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