私が聖女?いいえ、悪役令嬢です!2~生存ルート目指したらなぜか聖女になってしまいそうな件~
「ボクの前で、マナーなんて気にしなくていい」

イライラとしてきっぱりと言い切るニジェルは少し高圧的に見える。

カミーユの顔が真っ赤になっていく。見ているイリスも気恥ずかしい。イリスは顔を覆いながら、ニジェルのいた席に座った。

「ニジェル……ここへ来て、ドS騎士爆誕とかやめてちょうだいよ……」

ぼそりとイリスが呟けば、レゼダが不思議そうにイリスを見た。

「どえす……?」

うわあ!? レゼダ様の花びらのような唇に『ドS』などと言わせてしまった!

「あ、いえ、なんでもありません……」

目を泳がせるイリスである。

ガリーナはつまらなそうにニジェルを見た。

「ニジェル様は心の広いお方ですのね。でも、あまりマナーのなっていない方を側に置くと、ご自身の評判を落としかねましてよ? また、ニジェル様が庇えば庇うほど、この方は学ぶ機会を失います」

ガリーナの言葉に周囲の空気が凍る。

まるで悪役令嬢のようなガリーナの物言いにイリスも固まった。

「……あの、ニジェル様、ごめんなさい」

カミーユがニジェルの手を振りほどいた。

ニジェルが傷ついたようにカミーユを見る。

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