離婚を申し出た政略妻は、キャリア官僚の独占愛に甘く溶かされそうです

 しかし、父の強い勧めもあり、私たちは何度か食事をしたのちに、結納。半年後の春に籍を入れ、挙式を行った。

 披露宴は国会議員や官僚、真紘さんのご両親とお付き合いのある財界の著名人、芸能人やスポーツ選手まで集まった、豪華絢爛なものだった。

 真紘さんはそのすべてをソツなくこなしつつ、私が緊張していたら笑わせ、疲れた顔を見せればすかさず気遣い、心身のフォローまで完璧。

 頭の回転が速く社交的で、なにより優しい彼に惹かれていく気持ちは止められなくて、結局コンプレックスのことは明かさないまま、私は真紘さんの妻になった。





「ただいま」

 真紘さんとの出会いに思いを馳せていたら、玄関の方から本人の声がしてどきりとした。

 ダイニングテーブルに離婚届を広げたまま椅子から立ち上がり、神妙な顔で廊下に出ていく。

 近づいてきた彼は、私の前で立ち止まるとなぜか悪戯っぽく笑った。かと思うと、後ろ手に隠していた大きな薔薇の花束を差し出す。

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