離婚を申し出た政略妻は、キャリア官僚の独占愛に甘く溶かされそうです

「真紘さん、この一年間で一度も私に欲情してません、よね……?」

 それこそが、離婚を決めた理由だった。結婚生活が長くなり、真紘さんを好きな気持ちが膨らんでいくにつれ、彼に求められないことを切なく思うようになった。

 このままの状態で彼と一緒にいるのは、苦しい。

 だから、一年記念日をひとつの区切りにしようと、腹をくくった。

「ん? ……ちょっと待って、話が見えない」

 いきなり赤裸々な質問をぶつけられた真紘さんは、困惑顔だ。

「いいんです、わかっています。真紘さんは父に気に入られたくて、私と結婚したんですから。離婚したとしても、あなたが不利益を被らないように父には説明しますから、心配はいりませ――」
「いや、そうじゃなくて!」

 いきなり声を荒らげた彼に、私の肩が小さく跳ねる。

「大きな声出してごめん。でも、どうして俺が欲情してないってわかるの?」

 今度は優しく尋ねられ、私は自分のコンプレックスについて、かつての交際男性との経験も含めて包み隠さず打ち明けた。

 真紘さんが一年間私を求めなかったのも、歴代の彼氏と同じ理由だろうと。

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