離婚を申し出た政略妻は、キャリア官僚の独占愛に甘く溶かされそうです
「ですから、真紘さんにはもう無理して私の夫を続けてほしくない。女性としての魅力をきちんと感じる相手と、幸せになってほしいんです」
黙って耳を傾けていた真紘さんは、私が話し終えると盛大なため息をついて、自分の頭をがしがし掻いた。
「まさか、一年もきみを不安にさせていたとは。……わかった。責任を取って、それにサインするよ」
目線で離婚届を示した彼に、紙の向きを変えてペンとともに渡す。
これでいいんだ。私という妻がいるせいで、真紘さんのような若い男性がずっとセックスを我慢するなんて、不健全だもの。
そうは思っても、彼との日常は楽しく、かけがえのない日々だった。離婚届に彼がペンを走らせているのを見ているだけで勝手に涙が浮かんでくるくらいには、愛おしい記憶だ。
真紘さんがペンを置き、背後の棚から印鑑を出す。彼が判を押すと同時にぽろっと私の頬を涙が伝い、慌てて指先を頬に当てた、その時。
「なぁ佳乃。これを提出する前に、試してみないか?」
「試す……?」