離婚を申し出た政略妻は、キャリア官僚の独占愛に甘く溶かされそうです

「本当に、ほんっとぉ~に小さい胸ですけど……それでも?」

 両手で胸元を覆いながら力説すると、真紘さんはクスクス笑って、それから。

「それでも、俺は佳乃としたい」

 真剣な眼差しできっぱり断言されて、かぁっと頬が熱くなった。

 試してみて、ダメならダメでいいのかもしれない。真紘さんはいつだって優しい人だから、もしもうまくいかなくてもきっと私を傷つけたりはしない。

「で、では、よろしくお願いします……」
「こちらこそ。その前に、シャワーだけ浴びていい?」

 そんななにげない発言にも、過剰に鼓動が騒いだ。〝シャワー〟なんて、一年間の結婚生活で何百回も聞いたことのある単語なのに、今日は特別な破壊力を持っている。

「はいっ。どうぞっ」
「ははっ、声裏返ってるし」

 すっかり緊張に包まれる私とは対照的に、真紘さんは平然とした態度でバスルームへ消えていく。

「わ、私は浴びなくて大丈夫かな……?」

 彼が帰宅する前にお風呂は済ませたけれど、好きな相手に最大のコンプレックスを晒すのだ。

 どんなに清潔でも自信が持てるはずがない。

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