離婚を申し出た政略妻は、キャリア官僚の独占愛に甘く溶かされそうです

 洋風料理の方が胸に栄養が行くのかな……。なんて、ばかげた思考だとわかっているけれど、毎回のように思う。

 真紘さんにすべてを受け入れてもらったとはいえ、雨音さんのように豊満な胸を持つ女性を羨む気持ちは簡単になくならない。

「それでそれで? ずっとレスだって言ってた旦那様と、どうやって急接近したの?」

 雨音さんは食事そっちのけで、テーブルに身を乗り出した。私と真紘さんの間に夜の生活がないことはすでに相談済みだったので、心配してくれていたのだろう。

 今まで雨音さんには数々の色仕掛けをご教授いただいたが、私にはどれも真似できそうになかった。

「実は……離婚届をつきつけまして」
「ええっ!? それはまた思い切ったね」

 雨音さんの色っぽい猫目が、大きく見開かれる。私は恥ずかしいので声のボリュームを抑えつつ、私は昨夜真紘さんと結ばれるに至った経緯を明かした。

「なるほどねぇ、そっかそっか。……とうとう幸せになったんだね」

 ちょっぴり意味深な目をして、雨音さんが私を見る。

 おそらく冷やかしているのだろう。その視線から逃れるように目の前の食事に箸をつけていると、不意に雨音さんが言った。

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