離婚を申し出た政略妻は、キャリア官僚の独占愛に甘く溶かされそうです

 食べ進めるうちにお互い自然にお酒が欲しくなり、真紘さんが「よし」とシャツの袖を捲ってバーカウンターに立った。

 真剣な目をした彼が筋張った手で洋酒の瓶をあれこれ物色しているのを見ているだけで、目の保養になる。

 バーテンダーの頃はさぞかしモテたのだろうけれど、今は私専属。ささやかな優越感を覚えながら、彼がシェイカーを振る姿をうっとり眺めた。

 やがて、氷を入れたタンブラーに南の海のような青さのカクテルを注いで、彼がテーブルに置く。

「わぁ、綺麗」
「見た目の通り、ターコイズブルーって名前のカクテル。さっぱりしていて食事にも合うよ」

 試しに少量口に含むと、やわらかい口当たりで飲みやすく、ほんのり感じるパイナップルの風味に南国の雰囲気を感じた。

「美味しいです」
「当たり前でしょ、最愛の夫が作ったんだから」

 席に戻った真紘さんが、威張るように腕組みをして胸を張る。

「そうですね。真紘さんが作ってくれて、真紘さんの顔を見ながら飲めるカクテル、最高です」

 お酒の勢いもあり、素直に答える。真紘さんはお見合いの時にも見せた、胸に被弾したお芝居をしてよろよろとテーブルに手をついた。

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