離婚を申し出た政略妻は、キャリア官僚の独占愛に甘く溶かされそうです
いつの間にか隣同士に座っていた真紘さんが、私の手からグラスを奪う。代わりに水のペットボトルを口に近づけられたけれど、私は拒否する。
今日はなんだか酔いたい気分なのだ。
「や。……お酒がいい」
「ワガママな佳乃もかわいいけど、もうダメ。水を飲みなさい」
むう、と頬を膨らませると、真紘さんがその頬をふにっと摘む。
「そんなに無防備だと、本当に〝仕返し〟されちゃうぞ」
「真紘さんの仕返しなら怖くないもん」
そう言って笑ってみせると、真紘さんは頬を赤く染め、困ったように眉根を寄せた。
もっと私のことで頭をいっぱいにして、困ってほしいなぁ。
酔っている私の脳内は、素直でちょっぴり大胆だ。
「あ~も~、なんなのこのかわいい生き物」
「真紘さんのお嫁さん」
自信満々に答えると、少しの間を置いて、真紘さんが急に席を立った。ぽかんと彼を見上げていると、身を屈めた彼が素早く私をお姫様抱っこする。
「……ってことは、好きにしていいんだよね?」
「ふえっ?」
「ま、今さら拒否されても止まれないけど」