離婚を申し出た政略妻は、キャリア官僚の独占愛に甘く溶かされそうです

 彼らと一緒にこの仕事を続けていけるなら、恋愛や結婚に縁がなくても別にいいか。

 そんな風に思うようにもなっていたのに……なんと、ふたりともほぼ同時に結婚相手を見つけ、俺を裏切るという所業をしてのけた。

 司波の相手は、料理研究家の花純ちゃん。雨郡さんの相手は、司波の美人の妹である。

 三人での飲み会も自然となくなってしまい、俺は寂しいヤツに逆戻り。やけっぱちになって、司波の結婚式では女性陣を差し置いてブーケを奪取したくらいだ。

 実は、佳乃に出会えたのはそのブーケのご利益なのではと思っている。司波の結婚式から数カ月たった頃、国会議員の朝香先生に呼び出されたのだ。

 朝香先生とは国会対応の件で何度もやり取りをしたことがあるので緊張はしなかったが、まさかその場で娘との結婚を提案されるとは、想定外だった。

『柳澤くん、きみ、政治家になりたくないかね? 私の後継者として』

 朝香先生にそう問われるまで、政治家になるなんて考えたこともなかった。

 しかし、正直『興味あるな』と思った。官僚の仕事もやりがいはあるが、政治家はその官僚たちのさらに上から、指示を出す立場だ。

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