君だけに捧ぐアンコール
拍手喝采を浴びる彼を客席から見守る。
結果としてコンサートは大成功だ。彼らしい煌びやかな音色はもちろん、哀愁漂う曲も超絶技巧の曲も、完璧に弾きこなした。
やっぱり私はKEIのファンだ!
鳴り止まない拍手の中で、KEIが舞台上へと戻ってきた。
「アンコールとして、この曲を最愛の人に贈ります。」
そうして弾き始めたこの曲は、パッヘルベルのカノン…!
*
「花音!」
「こんなに泣かして!お化粧崩れたじゃないですかっ!お、おしゃれしてきたのに!」
彼の楽屋に呼ばれたので行くと、顔を見るなりぎゅーっと抱き締められた。
「ダメだった?」
「素敵だった!いままでで一番!」
そう伝えると、嬉しそうに微笑む。
あ、可愛い。愛おしい気持ちが心の中に満タンになっていく。
「あのさ。」
「結婚、してください!」
「ちょ、今おれが言おうとした」
「我が家の伝統なんで。すみません」
「伝統ってなにそれ」
真知子ちゃん直伝の逆プロポーズ。加賀宮さんは不服のようだ。隆文さんの為にこの伝統は黙っといてあげよう。
「内緒です!それで?答えは?」
「俺が言うからお前が答えろ」
「えー!?何それー」
抱き締める手を緩めた彼が、真剣な顔つきになる。私の目元に残る涙を拭い、髪を撫で、そして──
「…結婚するぞ」
「ふふっ。はい!」
私たちの協奏曲は、これからも続いていく。あなたのピアノが聴けたなら、私はきっと、ずっと、幸せ。
fin
結果としてコンサートは大成功だ。彼らしい煌びやかな音色はもちろん、哀愁漂う曲も超絶技巧の曲も、完璧に弾きこなした。
やっぱり私はKEIのファンだ!
鳴り止まない拍手の中で、KEIが舞台上へと戻ってきた。
「アンコールとして、この曲を最愛の人に贈ります。」
そうして弾き始めたこの曲は、パッヘルベルのカノン…!
*
「花音!」
「こんなに泣かして!お化粧崩れたじゃないですかっ!お、おしゃれしてきたのに!」
彼の楽屋に呼ばれたので行くと、顔を見るなりぎゅーっと抱き締められた。
「ダメだった?」
「素敵だった!いままでで一番!」
そう伝えると、嬉しそうに微笑む。
あ、可愛い。愛おしい気持ちが心の中に満タンになっていく。
「あのさ。」
「結婚、してください!」
「ちょ、今おれが言おうとした」
「我が家の伝統なんで。すみません」
「伝統ってなにそれ」
真知子ちゃん直伝の逆プロポーズ。加賀宮さんは不服のようだ。隆文さんの為にこの伝統は黙っといてあげよう。
「内緒です!それで?答えは?」
「俺が言うからお前が答えろ」
「えー!?何それー」
抱き締める手を緩めた彼が、真剣な顔つきになる。私の目元に残る涙を拭い、髪を撫で、そして──
「…結婚するぞ」
「ふふっ。はい!」
私たちの協奏曲は、これからも続いていく。あなたのピアノが聴けたなら、私はきっと、ずっと、幸せ。
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