◇水嶺のフィラメント◇
「実際リムナトとナフィルの王宮は何十キロも離れているのに、レインとあたしは地下道に入れば、いつでも容易に落ち合うことが出来たの。扉の内側では何かが違うのかも知れないわ……そう考えることしか、頭と心を整理する方法は見つからなかった」
「違うって……そんなっ、魔法でも掛かってるっていうのか!? んなこと信じられないって!!」
ナフィルの王宮は背後に山並みを従えるが如く、リムナトとの国境近くに建造されているが、対してリムナト王宮は国土のほぼ中心に位置している。
幾ら東に面した湖畔の入口を利用しても、子供の脚で国境まで出向くのには無理がある。
アンの言う「何かが違う」のでなければ確かに何の説明もつかないが、「ハイそうですか」と簡単に納得するには余りに突拍子もない話であった。
「ねぇ……メティア」
「ああ?」
混乱が治まらず目を剥いたままのメティアの横顔に、アンは質問の答えを返すことなくその名を呼んだ。
「違うって……そんなっ、魔法でも掛かってるっていうのか!? んなこと信じられないって!!」
ナフィルの王宮は背後に山並みを従えるが如く、リムナトとの国境近くに建造されているが、対してリムナト王宮は国土のほぼ中心に位置している。
幾ら東に面した湖畔の入口を利用しても、子供の脚で国境まで出向くのには無理がある。
アンの言う「何かが違う」のでなければ確かに何の説明もつかないが、「ハイそうですか」と簡単に納得するには余りに突拍子もない話であった。
「ねぇ……メティア」
「ああ?」
混乱が治まらず目を剥いたままのメティアの横顔に、アンは質問の答えを返すことなくその名を呼んだ。