再愛婚~別れを告げた御曹司に見つかって、ママも息子も溺愛されています~
「コートの中では生き生きとしてキビキビ動き回っているのに、普段は結構天然でおっちょこちょい」
「っ!?」
「ギャップが激しくて。でも、それが可愛いとずっと思っていた」
「永江さん? 貴方も酔っ払いですか?」

 どうやら央太も酔っ払いになっているのだろう。そうでなければ、こんなことを彼が言い出すはずがない。
 何しろ、女子にはとても冷たい央太だ。彼の口から、女子である真綾を褒める言葉が出ること自体、普通ならありえない。
 目を丸くさせている真綾に視線を向けたあと、央太は笑いすぎで目尻に浮かんだ涙を拭う。

「俺は今日、一滴も酒を呑んでいない。小関を送るつもりでいたからな。小関が幹事をすることは知っていたから、あまり出席したくない呑み会にも出席したんだ」
「な、なんで……?」

 そこには、いつも見ていた央太はいなかった。
 大人の色気を醸し出し、真綾を誘惑するような表情を浮かべている。
 ドキッと胸が一際大きく高鳴っていると、慌ててこの雰囲気を払拭しようと早口で捲し立てる。

「えっと? いつもと雰囲気が全然違いますけど?」
「そりゃあ、そうだろう。いつもは猫を被っているからな」
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