再愛婚~別れを告げた御曹司に見つかって、ママも息子も溺愛されています~
「……本当にデートっぽい」

 彼の提案に、思わず言葉が零れ落ちた。小さく呟いた言葉なのに、目敏く彼の耳はキャッチしたようだ。

「ああ、デートだ。今日は、とにかく楽しむぞ」

 央太はグイグイと真綾の手を引っ張ってモール内を闊歩していく。
 とはいえ、真綾の歩調に合わせてくれる。そういうところも変わらない。

 こうして彼と過ごしていると、何年も離れていたなんてブランクを感じないところが不思議だ。
 あの頃のまま。時が戻ってきたように感じて、嬉しくなる。

 だが、同時に戸惑う気持ちにも支配されてしまう。
 央太の手を取るには、まだまだ課題は山積みだからだ。

 なにより、彼の家族に嫌悪されている真綾では無理だろう。央太との未来は、諦めるべきだ。
 ふと、そんな重苦しい気持ちが込みあげてきてしまう。

 この件に関しては、絶対に央太に伝える訳にはいかない。
 そうなると、やっぱり幹太が央太の子どもだということも伏せるべきだろう。
 永江家がきっと黙ってはいないはずだから。

 チラリと隣で歩く央太を見る。精悍な横顔は、真綾が記憶していたものより、より魅力的になっていた。
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