再愛婚~別れを告げた御曹司に見つかって、ママも息子も溺愛されています~
 その笑みも、声も、仕草も。全部、全部覚えている。幸せだったあの頃と一緒だ。
 こうなったら央太の言うとおりにしてみようか。何も考えず、ただ彼と一緒にいることを楽しんでしまおう。

 手から伝わる彼のぬくもりが懐かしくて、優しくて……やっぱり涙が零れ落ちてしまいそうだ。

「ほら、次はどこに行く? 真綾」

 あの頃よりすっかり大人になった二人。だけど、今はあの頃に戻ったようにはしゃいでしまう。
 これからのことはまた考えなければならない。だけど、今はあのときと同じ幸せな気持ちに浸っていたいと思ってしまう。

 つかの間の幸せに浸りながら、もうこんな時間はないのだろうと寂しく思う一方、この幸せな気持ちをもっと抱いていたいと思ってしまう。

 ――もう少し、今日だけは……。

 央太の隣に並んで歩きながら、この時間がずっと続けばいいのにと願った。

     * * * *

「……ここも、久しぶり」
「ああ。俺もだ」

 昔、央太さんが住んでいたマンションの近くにある川辺を、彼と手を繋いで歩く。
 付き合っていた当初、よくこうして川辺を二人で歩いたものだ。
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