再愛婚~別れを告げた御曹司に見つかって、ママも息子も溺愛されています~
 何気ない素振りで振り返るが、特にこれといった異変を感じない。
 やっぱり気のせいだろう。再び、足を進めた。

この歩道橋を降りてすぐに保育園の門がある。
 歩道橋を歩いていると、園児の賑やかな声が聞こえてきて頬を緩めた。
 早く幹太に会いたいな。そんな気持ちになりながら、歩道橋の階段を降りているときだった。

「アンタが痛めつけられれば、あの弁護士とノア・メッシーナに復讐ができるな」
「え?」

 背後から誰かが背中を押してきた。体勢が崩れ、階段を踏み外してしまう。
 落ちる瞬間、真綾が目にしたのは、あの日品川に恐喝していた中村だった。
  
     * * * *

「ねぇ、お兄ちゃん……。怖くなってきた」
「自分で蒔いた種だ。きっちり真綾に謝罪をしろ」
「わかっているわよ。全部私が悪いんだって。だけど……手が震えてきた」

 ガクガクと震える手を、道子は必死に押さえようとしている。
 真綾に会うのが怖くて仕方がない様子だ。

 ギュッと自分の手を握りしめ、何度も深呼吸をしている。
 そんな妹の道子を見て、彼女はこの六年で本当に変わったのだと実感した。

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