再愛婚~別れを告げた御曹司に見つかって、ママも息子も溺愛されています~
 そんな冷たい言葉を投げつけられてしまったのだ。
 道子と会ったことにより、どうして央太が仕事を辞めなくてはいけないと荒れていたのか理由がわかった。
 彼は実家から永江物産を継ぐように言われ、弁護士の仕事と板挟みになっていたのだ。
 だが、その内情を央太は真綾に一切漏らすことはなかった。それが答えなのかもしれない。

 独身最後を謳歌するためだけに側に真綾を置いていただけ。そういうことなのだろうか。
 今までの央太を見ていれば、そんなわけがないと思う。だけど、真綾には違う不安も抱いていた。
 
 永江物産と言えば、大企業だ。央太がそんな大企業の御曹司だなんて知りもしなかった。
 もし、お腹に央太の子どもがいるなどと伝えたら、どうなってしまうのだろう。
 央太の実家から疎まれる存在であろう真綾だ。穏便に事が運ぶとは到底思えない。
 子どもを諦めろと突きつけてくるのだろうか。それとも、子どもを奪われてしまうのだろうか。
 想像しただけでも恐ろしい。

「絶対に、この子は守ってみせる」

 真綾は、お腹にいる子を守ることを第一に考え、央太に妊娠のことを伝えるのは止めた。
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