一度は消えた恋ですが――冷徹御曹司は想い続けた花嫁に何度でも愛を放つ
山根と到着ロビーに急ぐ。
機内にも煙が入ったために何人かは気分が悪くなったらしいと情報も入ってきた。
ブラウン部長や会社の人たちの安否も気になるが、今の紗羽は匡のことしか考えられない。
(早く早く、姿を見せて……)
ギュッと両手を握りしめて乗客たちが姿を現すのを待った。
入国審査が終わるのが待ち遠しい。
待っている間のにも、本社からの連絡が入るし帰国を伸ばす調整もしなければならない。
紗羽は仕事をこなしながら、じっと目を凝らして人の動きを見続ける。
彼の無事な姿をいち早く確認したいのだ。
「紗羽!」
自分の名を呼ぶ声と同時に、背の高い彼の姿が目に飛び込んできた。
荷物も持たずに匡がこちらに走ってくる。
「匡さん!」
待ちきれず、紗羽も走り出す。
さっきまで震えていた足はなかなか思うように動かない。
だが一秒でも早く彼を抱きしめられるのなら、紗羽はどんなみっともない走り方だってかまわない。
「あっ」
彼がすぐ目の前にいるのに、足がもつれてよろけてしまう。
「紗羽!」
床に無様に転がるかと思ったが、衝撃はなくふわりと体が楽になった。
「匡さん」
紗羽の体はすっぽりと匡の胸の中にあり、足は床から浮いていた。
匡に軽々と抱きあげられていたのだ。