一度は消えた恋ですが――冷徹御曹司は想い続けた花嫁に何度でも愛を放つ
その日から遅れていた時間を取り戻すように、紗羽は必死で勉強した。
夏休みの講習から塾にも復帰して、ゆかりとまた会えるようになると精神的にも安定してきた。
「すごい太っ腹な社長さんだね」
「やだ、そんな太ってはいないよ」
「なに言ってるの、精神的な面のことでしょ」
塾の自習室に並んで座って勉強しながらも、小声でゆかりが揶揄ってくる。
「会ってみたいな~その社長さん」
「うん、ステキな人だよ」
「え⁉」
いきなりゆかりが声をあげて驚いた顔になった。周りの塾生からうるさいと思われたのか、紗羽まで睨まれてしまう。
「どうかした? ゆかり?」
紗羽は囁くような声で話しかける。
「いや、紗羽が男の人の話をしたの初めてかなって思って」
「そうかな?」
また周りに睨まれたので、ふたりはこそこそと廊下に出た。ここなら少しプライベートな話ができる。