一度は消えた恋ですが――冷徹御曹司は想い続けた花嫁に何度でも愛を放つ



高校生の頃も紗羽が塾で帰宅が11時近くなる時は必ず迎えに来てくれていたが、大学生になるともっと心配性になったようだ。
テニスサークルの夜の集まりに出かけると言ったら、匡から帰る前には連絡をするように指示された。
お開きになる頃に『これから帰る』と電話すると、彼がわざわざ車を運転して迎えに来たのだ。

『夜は屋敷の周りも危ないから、紗羽がひとりだと心配だ』

匡が迎えに来るときに必ず口にする理由だ。
彼が仕事で迎えに来れない日は、必ず山根を迎えに寄こす。
仕事中の山根に迷惑をかけているようで申し訳なくて、『ひとりで大丈夫』と言うと匡が不機嫌になるのだ。

「匡さんに夜遊びするって思われてるのかな……」

思わず紗羽が愚痴をこぼしたら、ゆかりは「愛されてる証拠だよ」とニマニマしている。

「まさか! 目を離したら勉強もせずに遊んじゃうとでも思っているんじゃないかな」
「う~ん。紗羽をひとりにしたら虫がねえ……心配だってことはわかる気がするなあ」

含みのある言い方をゆかりはするが、さっぱり紗羽には通じない。
紗羽は彼から子ども扱いされていて、奨学生だから夜遊びしないように見張られているだけだと思っている。


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