一度は消えた恋ですが――冷徹御曹司は想い続けた花嫁に何度でも愛を放つ
「子どもだな」
ポツリと匡が漏らすと、三船も側でうんうんと頷いている。
「幼いところがおありですから……」
「そうだな。落ち着いているように見えても、まだ大学生だ」
「でも匡さま、ありがとうございます」
「ん?」
改まって、三船が匡に頭を下げる。
「あんな明るい紗羽さんの顔を見ることができるようになったのは、匡さまのおかげです」
「いや………それは」
いきなり三船から真面目な顔で話を振られて、匡は驚いた。
普段から人当たりのいい女性だが、まさか感謝されるとは思ってもいなかった。
「いいえ、匡さまのお力です。ご両親を亡くされてからの紗羽さんに笑顔はありませんでしたから……」
義兄夫婦に虐げられていたのだ。笑うことなどひとつもなかっただろう。
「そうだな。笑えるようになったのはよかった」
「まだお辛い時もあるでしょうけど、こちらで暮らすようになって表情が変わりました」
両親を失った辛さは簡単に忘れられるものではない。ふとした瞬間に孤独と悲しみが襲ってくるのだ。
匡も経験したからこそ、紗羽の心の痛みがわかる。
「これからも、どうぞ紗羽さんを大切にしてさし上げてくださいませ」