シークレットベビー~初めまして、愛している。記憶喪失からはじまる二度目の結婚生活は三人で~
僅か二歳三ヵ月の生涯を閉じた勇気君。

勇気君の知る世界はベットの上だけ、声も発せず、外の世界を知らないまま、亡くなってしまったと思うと不憫でならない。

勇気君の入院していた『清友会総合病院』の医師や看護師、従業員達が大勢弔問に訪れた。

通夜を終え、親族だけになった。

慧斗さんは煙草を吸いに席を外す。

「俊哉さんは来なかったわね。お姉ちゃん」

俊哉さんは勇気君の父親。
「来るわけないわよ…彼はもう再婚してるし」

「そうなの?」

「そうよ…奥さん、妊娠してるのよ。この間、病院の産婦人科外来の待合で会ったのよ」

「・・・」

「元嫁が勤めてる病院だと知ってて、来るのよ。無神経過ぎるわよ」

「お姉ちゃん」

お姉ちゃんは怒り狂っていた。

「弥紗ちゃんはその後、遺伝子検査受けたの?」

「え、あ」

叔母さんの登紀子さんは母の妹。

お姉ちゃんと同じで旦那様とは離婚していた。私はずっと登紀子叔母さんは独身だと思っていたが、この病を知り、結婚していた事実を知った。

保因者である二人は夫の方から離婚を切り出され、離婚していた。

「まだよ」

「でも、妊活してるんでしょ?」

「そうなんだけど…」

私は言葉尻を濁す。

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