シークレットベビー~初めまして、愛している。記憶喪失からはじまる二度目の結婚生活は三人で~
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勇気君の告別式も終え、彼は天国に旅立った。

お姉ちゃんは勇気君の死で今まで張っていた気を緩ませ、過労で倒れてしまった。

私は仕事を休み、お姉ちゃんに付き添った。
『清友会総合病院』病室。

「私は大丈夫よ…弥紗」

「いいの…私だってお姉ちゃんに散々お世話になったんだもん」

父と母をバス事故で亡くした後、お姉ちゃんが親代わりとなり、看護師として働き、その収入で私を大学まで行かせ、卒業させてくれた。
私のせいでお姉ちゃんの婚期は遅れてしまい、三十八歳で結婚。勇気君が誕生したが、思わぬ事実が判明して離婚。

お姉ちゃんは勇気君を失い、今は一人ぼっち。

「入るぞ。神崎さん」

「どうぞ」

低く響く声はとても心地いい。

入って来た男性は救命救急医局長・渚和樹(ナギサカズキ)先生。
彼は十代の時『バリュー』と言うアイドルユニットの一人として活躍。引退して医大に進学して医師になった異色の人生の持ち主。『清友会総合病院』高木院長の親戚筋でもある。

端整な顔立ちで独身のオジサマ医師として院内の人気者。
特にアイドル時代の彼を知るおばさま達の人気は高いらしい。





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