双子を極秘出産したら、エリート外科医の容赦ない溺愛に包まれました
山里と娘を乗せた黒いハイヤーが、料亭のエントランスを静かに出発する。

それの車体が見えなくなるのを見届けて、すぐさま晃介は隣の父を問い詰めた。

「いったいどういうつもりですか?」

「……なにがだ?」

平然として大介はとぼけてみせる。
その姿に怒りを覚えて、晃介は吐き捨てた。

「娘が来るなんて聞いていない」

普段は使わない乱暴な口調になってしまうのを止めることができなかった。

美雪の話は、あれから小一時間続いた。

晃介の趣味や経歴、仕事内容について根掘り葉掘り聞きたがる彼女からの質問に、無難な言葉を返しながら、晃介は苛立ちを抑えるのに必死だった。

もちろん彼女自身にではない。この状況を作り出した父親にだ。

その怒りが今爆発する。

「これじゃ見合いみたいなもんだ! どうして事前におしえてくれなかったんですか」

「俺が知ったのも少し前だ。政務官から娘を連れていきたいと言われてね。伝え忘れていたのは悪かったが」

肩をすくめて白々しくそんなことを言う。だが嘘だとすぐにわかった。

葵と別れてからの二年半の間に、晃介は父からの縁談を何度か断っている。

もちろんそんな気になれなかったからだ。
強引に日にちを決められて、すっぽかしたこともある。
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