双子を極秘出産したら、エリート外科医の容赦ない溺愛に包まれました

事件

「谷本さんの髪って可愛いよね。それパーマ?」

仕事終わりのロッカールームで同僚の辻から声をかけられて、葵は思わず肩にかかる髪に手をやった。

「パーマじゃなくて、くせ毛なんです」

もちろん仕事中はきっちりとひとつにまとめているが、着替える際に緩んだから一旦解いたのだ。

「真っ直ぐな髪に憧れるんですけど……」

「そうなんだ。でもすごく可愛い。私は逆にそのくらいのパーマをあてたいんだけど、なんかうまくいかないんだよね。すぐに取れちゃうし。うらやましい」

コンプレックスを手放しで褒められたことが嬉しくて、葵は頬を染める。
「ありがとうございます」

「谷本さんってママだからなんとなく大人って感じがするけど、そうやって髪を下ろすとやっぱり同い年だね。可愛いし、言われきゃママていうのが信じられない」

辻がパタンとロッカーの戸を閉じて周りを見回す。

自分たちのほかには誰もいないことを確認してから、また口をひらいた。

「週末の忘年会は来られそう? 実は山田(やまだ)先生から谷本さんが参加するか聞いてほしい言われてるんだよね。お近づきになりたいみたい」

唐突に飛び出した若い医師の名前に、葵は面くらう。

戸惑いながら問いかけに対する答えを口にした。

「夜なのでちょっと行けなさそうです。……すみません」

辻が残念そうにため息をついた。

「お子さんまだ小さいもんね。当たり前だ。山田先生、がっかりするだろうな」

「すみません……」
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