双子を極秘出産したら、エリート外科医の容赦ない溺愛に包まれました
 その言葉に、葵はふふふと笑って頷いた。

「そうなのよ、変だよね。でも起こしてくれたら、私、あっちに行って寝たのに……」

昨夜は、久しぶりに彼の腕に抱かれた。二年半ぶりに足を踏み入れたこの彼の寝室で、今までの空白を埋めるようにふたりは深く愛し合った。

これ以上ないくらいに幸せで満たされた時間だったけれど、最後は記憶が曖昧なくらいくたくで……。

子供たちのことが頭になかったというわけではないけれど、そのまま寝てしまったようだ。

「気持ちよさそうに寝てたから起こす気になれなかったんだ。寝顔が、可愛くて」

朝には似合わない甘い言葉を口にして、晃介は葵の髪に顔を埋める。耳に唇を寄せて囁いた。

「疲れさせたのは俺だし……身体、大丈夫か?」

葵の胸がドキンと鳴る。

昨夜、このベッドの上で起こった出来事を思い出してしまったからだ。

昨夜彼は、長い時間ため込んだ思いをぶつけるように情熱的に葵を抱いた。

肌の上を縦横無尽に動き回る不埒な手、執拗に弱いところを責め続ける唇に、葵は翻弄され続け、何度も何度も限界を迎えた。

そのたびにもう許してほしいと訴えたけれど、すべて愛の言葉でねじ伏せられた。

「だ、大丈夫だけど……」

頬が熱くなるのを感じながら答えると、晃介が首を傾げた。

「けど?」

葵は彼を睨んだ。

「……ちょっとやりすぎだと思う。私、夜は晴馬と悠馬と一緒に寝なくちゃいけないのに、子供たちのところへ行けなくなるまでするなんて。私と晃介じゃ体力が違うんだから考えてくれないと……」

口を尖らせてぶつぶつ言うと、晃介がフッと笑う。葵の髪に顔を埋めてくっくと肩を揺らしている。

葵は再び彼を睨んだ。

「晃介?」

「ごめんごめん」
 
晃介が笑いながら口を開いた。

「だけど半分は葵のせいだ。俺はああなるのがわかっていたから自制したのに、君がそれを飛び越えた」

「だ、だからって! あ、あそこまでするなんて思わないじゃない」

「思わない? 本当に?」
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