双子を極秘出産したら、エリート外科医の容赦ない溺愛に包まれました

親子の対決

空港から直接病院へ向かうという晃介に葵は一緒に行きたいと彼に告げた。

その申し出を晃介はしばらく考えたのち、了承した。

「気持ちのいいやり取りではないから君には見せたくない気もするけど、父は君に謝罪するべきだ」
 
葵としては謝罪を求めてはいない。
 
長年の思いに加えて新たな事実を知った彼が、父親と決着をつけると言うならば、そこへ踏み込むべきではないのかもしれない。
 
それに口出しするつもりはないけれど、山里との面談後の大介の様子が、気にかかっている。

どうしても晃介を病院にとって有益な相手と縁づかせたいという執念と、時間がないという言葉……。
 
ふたりが理事長室へついた時、大介は窓際のデスクに座って晴れわたる空を眺めていた。

「父さん」
 
晃介が呼びかけると、彼は椅子をまわしてゆっくりとこちらを向く。

日の光で逆光になり、表情はよくわからなかった。
 
大介から葵を守るように立ち、晃介が話しだした。

「すべて聞きました、父さん。あなたとはずっと距離があると思っていましたが、まさかここまでのことをしているとは思わなかった」
 
晃介の手が拳を作った。

「でもすべて無駄なことです。……俺は決してあなたの望み通りにはならない。葵にひどいことをした父さんを俺は絶対に許さない。今この瞬間に、親子の縁を切って葵と子供たちと生きていきます。今すぐに葵に謝罪してください」
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