双子を極秘出産したら、エリート外科医の容赦ない溺愛に包まれました
新しい形
大介はやはり脳腫瘍だった。
 
後から葵が聞いた話によると、相当な大きさになっていて視神経を圧迫していたという。

幸いにしてオペで取り除くことができる箇所だったから、救急救命室へ運ばれ検査を受けたあと、すぐに開頭手術が行われた。もちろん、晃介が執刀した。

そして手術は成功し目を覚ました大介が回復するのを待って親子は再び落ち着いて話をした。
 
妻を死なせてしまった後悔を、歪な形で償おうとしていた父を晃介はもう責めることはできなかったという。

 大介も、自由が効かなくなった身体ではどうしようもないと、理事長職を退くと言った。

『晃介、お前はまだあと十年は臨床から離れるな。高梨を呼び戻せ、もしもの時は頼むと話をしてある』

 方法は異なるかもしれないが志は受け継いで、白河病院での医療技術の継承に全力を注ぐと約束した晃介の言葉には、『好きなようにしろ。やれるなら、やってみろ』と答えた。

 そして、半年が過ぎた。
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