双子を極秘出産したら、エリート外科医の容赦ない溺愛に包まれました
でもべつに子供たちを利用しているわけではなくて、葵や晃介のやることはそもそもが子供たち中心に考えてのことだから、うまくいくのだ。

「じゃあ、思い切りいい服を着せないとな?」
 
大介が葵に向かって確認する。
 
葵はふふふと笑って頷いた。

「はい。小さい子でも着られるタキシードがあるので、それにしようかと思っていて」

「タキシードか‼︎ うむ、ふたりとも似合うだろうな。じゃ、私が買ってやろう。次の休みにでもデパートへ行って」
 
張り切る大介に、葵は申し訳ない気持ちで、首を横に振った。

「ありがたいお話ですけど、今はまだやめといた方がいいと思います。子供はすぐに大きくなりますから、今買うとサイズがちょっと……」

「なるほど、確かにそうだな」
 
大介が素直に納得しする。でも双子が参加すると聞いて、また待ちきれなくなってしまったようだ。
「準備も大事だが、もうちょっと早くならんのか……」
 
再びぶつぶつと言っている。晃介と葵は聞こえないフリをしてうどんを啜った。
 
言うべきことはすべて言った。もはや打つ手はない。
 
……でもそこで。

「おい、晃介。早くせんと三人目ができてしまうぞ!」

なんて言うものだから、ふたり一緒にごふっとむせてしまったのだった。
< 176 / 188 >

この作品をシェア

pagetop