ウィザードゲーム〜異能バトルロワイヤル〜

 空になった袋を丸めた蓮は、眉を寄せつつ首を横に振る。

「そこまでは分かんねぇ。でも、ヤバい連中なのは確かだろ。これが本当に異能力なら、確実に人間じゃねぇだろうな」

 言い知れない恐ろしさが、じわじわと這い寄ってくる。
 どうやら、とんでもない事態に巻き込まれてしまったようだ。

「もしかして、蓮が部活休んでるのもこのせい?」

「……ああ」

 半分正解だ。怖いのは、自分より小春に害が及ぶことだった。

 魔術師は魔術師でない者を殺せない────しかし、命さえ奪わなければ痛めつけることはできる。

 悪意のある魔術師に、彼女が狙われるのが怖怖かった。

「……!」

 小春はふいに思い至る。

 唯一の生き残りを目指すということは、蓮とも敵同士になるということだ。
 いずれは殺し合わなければならない運命なのかもしれない。

「……なあ、何かばかなこと考えてねぇか?」

 蓮も大概ではあるものの、小春もすぐに表情に出るため分かりやすい。
 呆れたように言い、はっきりと告げる。

「言ったろ。俺はおまえを守るって」

「あ……ありがとう」

 小春の中に湧いた恐怖や不安が霧散(むさん)していく。
 蓮が味方でいてくれることにほっとした。
 けれど────。

(最後に生き残れるのは、ひとりだけなんだよね……)

 どうなっちゃうんだろう。
 漠然と想像しかけて、慌ててかぶりを振った。

(やめよう。いまは考えたくない)
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