ウィザードゲーム〜異能バトルロワイヤル〜
去年同じクラスだった和泉だ。
にこやかに声をかけられ、小春と蓮は顔を上げる。
「じゃあね、和泉くん」
「お疲れ、またなー」
2年に進級し、ふたりはB組、彼はE組とクラスこそ離れたものの、こうして顔を合わせれば挨拶や軽い会話を交わすことがあった。
手を振って別れると、昇降口を抜けて校門を潜る。
他愛もない話をしながら歩を進め、ほどなく住宅街の一角にある小春の家にさしかかった。門前で足を止める。
「じゃあ、また明日ね」
「ああ、寝坊すんなよ。迎えにいくから」
「はいはい……。いいのに、わざわざ送り迎えなんて」
「別にわざわざじゃねぇよ。俺の家そこだぞ、通り道だからついでなだけだ」
蓮は親指で指し示した。
道路を挟んで斜向かいにある一軒家が彼の家だ。
「そういうことじゃなくて……」
知りたいのは、どうして突然こうも“過保護”になったのかということだ。
送り迎えも一緒に登下校するのも、中学時代から振り返ってみてもここ1か月が初めてのこと。
付き合ってもいないのに、急にどうしたのだろう。
「早く家の中入れ。あと夜はひとりで出歩くなよ」
「……もう、何なの? お母さんよりお母さんみたい」
小春は苦笑しつつ、言われるがままに門の内側へ入る。
蓮に手を振ると、玄関のドアを閉めた。
「……あ、忘れてた」
自室へ上がってスマホを取り出したところで、そういえば妙なゲームのメッセージが来ていたことを思い出す。
開いてみると、いっそう妙としか言いようのない文言が表示された。