エリートSPはようやく見つけたママと娘をとろ甘溺愛で離さない
『そうか。すまないな。梓にも……、その……あの子にも』

 その通り、すまなさそうな声音だった。

 けれど和臣は和の名前を出さなかった。

 どうしてだろう、と梓は思った。

 名前は知っているに決まっている。

 実際、梓は今、口に出した。

 でも和臣は言い淀んで、でも『あの子』と言った。

(……資格がないとか、思ってるのかな)

 梓はそう推測した。

 まだ話がついていないから、名前を呼ぶ資格なんてないと思っているとか。

 思えば、その可能性は高いと思えた。

 真面目で誠実な和臣だから。

 きっとそう思って、まだ呼んではいけないと思っているのだろう。
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