エリートSPはようやく見つけたママと娘をとろ甘溺愛で離さない
 確認していって、梓は小さく頷いた。

 これだけあれば、作るのには困らない。

 よって予定通り、キッチンの様子を見る作業に移る。

 広くて立派なシステムキッチン。

 あまり使われた気配のないそれの機能に感心しつつ見ていく間に、梓は噛み締めてしまった。

 今日から本当にここで暮らすのだ。

 ここが自分と和にとっても『自宅』になるのだ。

 親子三人、共に暮らすという、夢だったことが今日から叶う。

(なんて幸せなんだろう)

 もう一度、噛み締める。

 こうだったらいいな、と思ったことは、二人暮らしだったときから勿論あった。

 ただ、自分がそんなことを言ったら和を悲しませてしまうから、梓は絶対に口に出さなかった。

 でも心の中ではよく浮かんでしまっていたことだ。

 なのに、今はもう心の中に閉じ込めておくことでも、ただの願望でもない。

 現実なのだ。

(現実は願望より奇なりだね)

 少しずれた格言が頭に浮かんで、自分でちょっと笑ってしまいながら、梓は冷蔵庫から食材を取り出して、初めての食事の支度をはじめた。
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