【短編】悪役令嬢は全力でグータラしたいのに、隣国皇太子が溺愛してくる。なぜ。
それから三カ月が経ち、私は帝国の自宅で化粧品販売の指揮を取りながら、悠々自適な生活を送っていた。
護衛の部屋と私の寝室、仕事部屋にリビングとキッチンだけのこぢんまりした一戸建ては、帝都の外れに位置している。
日々の暮らしは穏やかで、父がつけてくれた専属護衛のフレッドは逞しくて帝国のことにも詳しく、頼り甲斐がある有能な騎士であった。新顔だったから、私のために帝国出身の人材をわざわざ雇ってくれたのだろう。
艶のある銀の髪はサラサラで、サファイアみたいな瞳はどこまでも透き通っている。騎士だけに鋭い眼差しで、高い鼻と適度な厚みのある唇がバランスよく配置され、かなりの美形だ。
なにも喋らないと整った顔立ちも相まって冷酷な印象を受けるけれど、言葉を交わせば細やかな気遣いもできる心優しい人だとすぐにわかった。
一緒に暮らすうちにフレッドと打ち解けていき、私のことはユーリと愛称で呼ぶようになった。公爵家でも専属侍女にはそのように呼ばれていたので、心を許してくれたみたいで嬉しかった。
「ユーリ様、こんなところで眠っていてはお風邪を召されますよ」
「うう〜ん、でも眠くて……」
「それでは、俺が寝室までお運びいたします。失礼いたします」
そう言って、子猫を抱き上げるように軽々とお姫様だっこされた。昨日は新商品の開発で朝方まで起きていたので、このまま眠ってしまいそうだ。ていうか、寝てしまえばいい。私を縛るものはなにもないのだから。
ルイがそっとベッドへ私を寝かせる気配を、沈みゆく意識の中で感じていた。
護衛の部屋と私の寝室、仕事部屋にリビングとキッチンだけのこぢんまりした一戸建ては、帝都の外れに位置している。
日々の暮らしは穏やかで、父がつけてくれた専属護衛のフレッドは逞しくて帝国のことにも詳しく、頼り甲斐がある有能な騎士であった。新顔だったから、私のために帝国出身の人材をわざわざ雇ってくれたのだろう。
艶のある銀の髪はサラサラで、サファイアみたいな瞳はどこまでも透き通っている。騎士だけに鋭い眼差しで、高い鼻と適度な厚みのある唇がバランスよく配置され、かなりの美形だ。
なにも喋らないと整った顔立ちも相まって冷酷な印象を受けるけれど、言葉を交わせば細やかな気遣いもできる心優しい人だとすぐにわかった。
一緒に暮らすうちにフレッドと打ち解けていき、私のことはユーリと愛称で呼ぶようになった。公爵家でも専属侍女にはそのように呼ばれていたので、心を許してくれたみたいで嬉しかった。
「ユーリ様、こんなところで眠っていてはお風邪を召されますよ」
「うう〜ん、でも眠くて……」
「それでは、俺が寝室までお運びいたします。失礼いたします」
そう言って、子猫を抱き上げるように軽々とお姫様だっこされた。昨日は新商品の開発で朝方まで起きていたので、このまま眠ってしまいそうだ。ていうか、寝てしまえばいい。私を縛るものはなにもないのだから。
ルイがそっとベッドへ私を寝かせる気配を、沈みゆく意識の中で感じていた。