【書籍化&コミカライズ】虐げられていた身代わり令嬢が呪われ王子に溶けるほどに愛されるまで
「もちろん、無理強いするつもりはない」


クラレンスのディープブルーの瞳は真っ直ぐにカトリーナは見つめている。

(私が令嬢のように振る舞うの……?シャルルお嬢様のように)

今まで自分が令嬢のように振る舞えたらなんて、一度も考えたことはなかった。
シャルルはカトリーナとは違う、手の届かない存在だとずっと思っていた。
自分にそんなことができるわけがない……そう思っているのにやってみたい、見返すことができるならば見返したいと思う。

そうすればこの体に染みついた怒りや悲しみ、憎悪を思いを断ち切れるのではないか。

しかしカトリーナ・サシャバルとしてサシャバル伯爵家の籍に入っているのなら、また戻されることもあるのではないか……この幸せを知ってしまえば、あの場所に戻ることが怖くてたまらない。
そんなカトリーナの思いを見透かしているようにクラレンスは口を開いた。


「だが、もう二度とあの場所に戻ることはないがな」

「…………!」

「俺がそうはさせない」


クラレンスの力強い言葉が、カトリーナの心にじんわりと沁みていく。
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