【書籍化&コミカライズ】虐げられていた身代わり令嬢が呪われ王子に溶けるほどに愛されるまで
それからカトリーナはニナに身なりを整えてもらい、言われるがままにテーブルについた。
テーブルマナーの知識は得ていても、やはり実際にやるとなるとわからないことが多く、食器を持つ手が震えてしまう。
戸惑っているカトリーナを怖がらせないようにか、いつもより優しい声色のクラレンスがカトリーナに声をかけながら丁寧に教えてくれた。

その日、カトリーナは生まれてはじめて食事が楽しいと感じた。
カトリーナの僅かな変化に気づいていたクラレンスも嬉しそうにしている。


「クラレンス殿下、今日はありがとうございます」

「訓練は毎日行う。いいな?」

「はい、よろしくお願いします」


カトリーナは深々と頭を下げた。
クラレンスの気遣いや優しさを感じたからだ。
どうにかしてその気持ちを伝えようとカトリーナは声を上げた。


「あ、あの……!」

「どうした?」

「こんな私に、色々と教えてくださって……とても嬉しいです」

「こんな私などと言う必要はない」

「え……?」

「お前は美しい。もっと自分を誇れ」


クラレンスはそう言ってカトリーナの頭を撫でてから後ろに控えていたトーマスにいつものように「国境を見回りにいく」と言って黒いローブを羽織った。

トーマスが「クラレンス殿下もクラレンス殿下なんだよなぁ」と呟きながら彼の後ろを追いかけていく。
カトリーナは暫くクラレンスが言った言葉の意味がわからずに放心状態だった。
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