【書籍化&コミカライズ】虐げられていた身代わり令嬢が呪われ王子に溶けるほどに愛されるまで
クラレンスはカトリーナに背を向けながらそう言った。
カトリーナはクラレンスと共にいる時だけ、特別な感情になることに気づきはじめていた。
(なんだか、とても……ドキドキする)
ナルティスナ邸で暮らしはじめてから嬉しくて気持ちがフワフワしたり、こんなに幸せでいいのか気になったり、今まで経験したことのない気持ちになっていく。
クラレンス共に過ごす時間はうまく言葉に言い表せないがカトリーナにとっては『特別』だった。
強くて美しくて優しいクラレンスと共にいたいと願うたびにもう一人の自分が引き留める。
『あなたにそんな価値があるの?』
そう問いかけられると、あと一歩が踏み込めなくなってしまう。
今、カトリーナには屋敷を綺麗にしたりすることしかできないけれど当たり前のように食事がもらえて、清潔な部屋を用意してもらえる。
着替えもたくさんあるし、休憩ももらえて、皆がカトリーナに優しくしてくれた。
ここでは誰もカトリーナを責めたり怒ったり、叩いたりしない。
(ここにずっといれたらいいのに……クラレンス殿下はああ言ってくださったけれど、私がここに居続けてしまえば迷惑になってしまう)