【書籍化&コミカライズ】虐げられていた身代わり令嬢が呪われ王子に溶けるほどに愛されるまで
カトリーナの心の中で、ずっと押さえ込んでいた気持ちが湧き上がる。
鼻の奥がツンとして目頭が熱くなっていく。
抑えなければいけない……そう思っているのに、もう止められることができなかった。

カトリーナはクラレンスに手を伸ばしながら思いきり声を上げて涙を流す。
クラレンスは静かにカトリーナを抱きしめ続けた。
今まで溜め込み続けた苦しみや思いが涙や声と共に流れていく。

否定されて、蔑ろにされ続けても声を押し殺していた。
けれど、クラレンスはそんなカトリーナの小さな声に耳を傾けてくれた。
ずっとカトリーナに優しい言葉をかけ続けてくれた。


「これからは泣いてもいい。怒ったっていい……もう押さえ込む必要はないんだ」

「っ、うぅ……!」

「カトリーナの側には俺がいる」


クラレンスに甘えるようにしてカトリーナは泣いていた。
彼は怒ることもなく、ただ静かに寄り添い続けてくれる。

どのくらい時間が経ったのだろうか。

カトリーナは羞恥心に蝕まれているのとクラレンスから離れるタイミングがわからなくなっていた。
今までは一瞬だけ肌が触れることはあっても、ここまで長い時間に人と触れたことはない。

心臓は跳ねるように激しく動いている。
するとクラレンスは手袋を取ると、カトリーナを向かい合いように座り直させた。
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