【書籍化&コミカライズ】虐げられていた身代わり令嬢が呪われ王子に溶けるほどに愛されるまで

「……その顔、気に入らないわ」


恐らくシャルルがそう呟いた。
そのセリフはカトリーナのトラウマとも言える出来事を思い起こしていく。
短い息を断続的に吐き出してから唇を噛んだ。
カトリーナの手のひらにはじんわりと冷たい汗が滲む。


「ふーん、こうしてみるとコイツってお父様にそっくりなのね。あなたの顔ってそんなに美しかったかしら?いつも見窄らしいからわからなかった」

「…………っ」

「不愉快だわ。最悪な気分」


ヒュッと風を切る音と、手を振り上げるのが見えてカトリーナはグッと目を閉じた。
しかしいつまで経っても痛みが訪れないことを不思議に思い、カトリーナが目を開くとシャルルの腕をサシャバル伯爵夫人が掴んでいる。


「シャルル、耐えなさい。この子は身代わり……いなくなったら困るでしょう?」


夫人の言葉にシャルルはカトリーナを睨みつけながらもカトリーナを殴ろうとした手を下ろした。


「……そうね、お母様の言う通りだわ。ほんの少し可愛いからって調子に乗らないで。アンタなんて呪い殺されて終わりなんだから」


シャルルの暴言がカトリーナの耳に染み込んでは消えていく。
着替えやお気に入りの本を持っていこうとするが、今までの扱いがバレるのを恐れたのか、嫌がらせなのかはわからないが全て取り上げられてしまった。
< 26 / 218 >

この作品をシェア

pagetop